主剤と硬化剤の2種類の液体を混ぜて使用することによって各種基材に硬質のガラス膜を形成する常温ガラスコーティング剤(ヒートレスグラス)です。この製品は用途によって数種類のタイプがあります。
二酸化ケイ素(SiO2)骨格(フォーマーイオン)とし、各種の金属イオンを酸化物として〔modefied(修飾イオン)として〕取り込んだガラス製品は、われわれの生活の中で幅広く利用されています。 硬度と剛性、あるいは透明性、耐汚染性、耐薬品性、水蒸気バリア性、ガスバリア性といった特性を生かした用途として、各種容器、照明、表示製品、光学ガラス、色ガラス、工芸ガラス、ソルダーガラス、結晶化ガラス、耐圧・絶縁ガラス等、われわれの身近でその応用製品は使われています。
しかし、一般にガラスは高温で溶融して初めて成形加工が可能となる物質であり、逆にいえば、高温で溶融しなければならないことが、ガラスの用途展開の限界点でもあります。
そこで、これらの問題を解決するために作られたのが、常温で無機質のガラス膜を形成するコーティング剤(ヒートレスグラス 商品名:SIRAGUSITAL−B4373)なのです。
従来、常温でガラス皮膜を形成することは不可能だと考えられてきました。しかし、構造解析技術、あるいは反応触媒の技術によりこれを可能としたのがSIRAGUSITAL−B4373(ヒートレスグラス)です。
理論としては、アルコール可溶型有機ケイ素化合物、その他金属化合物(有機、無機)を液中でイオン化し、触媒を使用して常温(室温〜200℃)でガラスと同じSiO2のネットワーク(図1)を形成する手法です。
触媒作用のメカニズムは必ずしも明確ではないが定量分析手法として使用している方法(技術)の一例を挙げると有機金属化合物としての金属アルコキシド、触媒としてのアルコールを用いた場合、以下のように推定される。
即ち、式(1)に示すように、B3+とX−から生成するBX4−錯イオンが、式(2)のようにM(OR)nのMと極めて容易に交換してMX−n+1となり、式(3)、式(4)を示す加水分解、脱水反応が促進にされる結果、常温領域において金属酸化物ガラス(ヒートレスグラス)が得られると考えられます。
SIRAGUSITAL−B4373(ヒートレスグラス)は主剤と触媒の2液を混ぜるタイプの溶液です。SIRAGUSITAL−B4373の最大の特徴は、ガラス質膜が常温で生成されることです。しかも、その膜質は無機質であり、これにより、ガラス本来の持つ特性がそのまま膜の特性として再現されることになります。ガラス膜質の硬度は下地によりますが鉛筆硬度3H〜9Hと非常に硬い塗膜性能です。また、耐候性、耐薬品性、耐水性、耐ガスバリア性、耐熱性(600℃〜2000℃)といった効果がありますが、表にすると下記のようになります。
コーティング対象物 | コーティング効果 |
鉄 | 耐候性・防錆性・耐酸性・耐摩耗性・絶縁性 |
アルミニウム | 耐候性・耐酸性・耐摩耗性・絶縁性 |
ステンレス | 耐候性・高温耐酸性・帯電防止 |
塗装面 | 耐候性・高温耐酸性・防微性・帯電防止 |
セメント ※1 | 防水性・防カビ性・耐酸性・耐摩耗性・クラック防止 |
木材 ※2 | 防水・防湿性・防虫性・硬質化・難燃処理 |
紙 | 防水・防湿性・防虫性・硬質化 |
繊維 | 防水・防湿性・防虫性・硬質化 |
樹脂 ※3 | 耐候性・防雲性・耐摩耗性 |
耐火物 | 耐熱性・溶融金属離型性 |
指触乾燥(気温20℃) | 2〜3時間(膜厚により異なります) |
標準硬化(硬度H〜2H) | 24時間(膜厚により異なります) |
耐水性造膜 | 24時間(膜厚により異なります) |
不燃性造膜 | 40時間(膜厚により異なります) |
耐溶剤性造膜 | 3〜6日(膜厚により異なります) |
完全硬化(硬度8H) (下地により異なります) |
6日(膜厚により異なります) |
1.塗装面の落書き
2.洗剤を吹き付けます
※ 洗剤を使用しなくても
除去できる場合もあります。
3.一拭きで消せます